弱キャラ友崎くん Lv.3で気になったところ『缶バッチ』の考察などなど

 

こちらは弱キャラ友崎くんを2022年2月の段階で発売されている巻(Lv.10)まで読んだ浅瀬のオタクが深くまで考察していく記事です。Lv.11が出るまで死なないようにしているとも言います(はやく書いて作者)

ブログという形式とか考察とか不慣れなものしかないけれど、読んでくれると嬉しいです。

 

f:id:moudokukikai:20220205191144j:plain

菊池さんかわいい

今回考え察していくのは3巻のLV.3の内容ですが、ざっくり言うなら友崎がどうなりたいのか、その考えが決まったというものです。
早速考えていきましょう

「1 仲間を揃えて最初の街に戻ると新しいイベントが起きたりする」の缶バッチについて

この章では、友崎のため(正確には友崎がリア充になるため)に、日南がデートの練習をしてくれるところから始まり、その後は合宿(くっつけ作戦)の会議でこの章は完結します。

練習シーンでは友崎の服装がオタクの感性の塊とかぼろぼろにしたり菊池さんの連絡先をゲットしたりといろいろあるわけですが、その中でも私が気になったところといえば缶バッチでしょうか

 

カラフルな色味の花火が描かれた缶バッチを日南が欲しがっていたことを知った友崎は「日南がこういうものを気にいるのは意外」と評しています。

日南に「そういうの、好きなのか?」と尋ねると、「あまり不必要なものは買わないけれど、なんとなく、直感的に?」と曖昧に返しています。『好き』とは言わず、『不必要』であることもわかっているが、特に理由もなく欲しがっているわけです。これが演技であるか本心であるか友崎自身もわからず、その後の文で「まあ日南はこういうセンスなんだろうな」と結論づけています。

もともとこの缶バッチは前から日南が目につけており、「持っているほつれたリュックあげるから缶バッチをくれ」という条件を付けて手に入れようとしています。

 

ここで一つ疑問があります。

この缶バッチの値段が400円(税抜き)という、高校生であれど決して手が届かないものではなく、むしろ買いやすいものではあります。日南はどうして400円の缶バッチを、すぐ買わずにいたのでしょうか。

 

考えられる理由の一つとして、「友崎と対等の関係を作る」というものがあります。

これは読み進めていけばわかることで、「一方的に与えるだけでなく与えられる関係」になり「友崎の負い目を解消」できるから、わざわざ『交換』という形をとったのだと友崎なりに解釈します。

リュックと交換して缶バッチを手に入れるというプランが元々あれば、缶バッチを目にした時には購入せず、友崎にリュックを与えるための口実のために残したことになるわけです。

 

けれど、最初から日南が計画していたものであるかは疑問が残ります。

日南がリュックと交換という条件を持ち出したシーンでは、友崎のバッグをみて「やっぱりあった方がいいな」と発言しています。これはつまり、「リュックはあった方がいいか迷っていた」ことになります(とはいえヒロインモードの発言なので「やっぱり」が言葉尻がいいからという意味であるかもしれないですけど)

となると、缶バッチを買わなかった理由にはならないと思います。「リュックを渡すかどうか決めかねている」と「缶バッチを買わない」という内容には繋がらない気がします。

 

なら、買わなかった理由はなんなのか。

私が考えるに、「買う理由がなかった」からではないでしょうか。日南は「あまり不必要なものは買わない」と言っているように、そして今までの言動から「無駄が嫌い」であることがわかります。なので、この缶バッチが『欲しいもの』であっても『不必要』で『無駄』であり、「買う必要性がない」わけです。だから日南は目にした時には買わなかったのではないでしょうか。

これならば納得がいきます。

 

とはいえ、何故この缶バッチが欲しいと思った理由には不明です……私は思いつきませんでした。悲しい。(花火が移っていることから夏林花火ことたまちゃんについての比喩であるのかなとは思いますが……3巻時点では明確な答えがないように感じます)

 

「4 たった一つの選択肢がすべてを変えてしまうこともある」の日南葵の「あなたも違うのね」などについて

本文で言うと269ページからの内容になります。菊池さんとの花火大会デートの後に日南を呼び出し……というところですね。

順に気になったところをピックアップしていきます。

  俺は椅子から立ち上がり、軽く頭をかきながら、自動販売機に視線を向ける。

「ああ、ちょっと待ってくれ。喉渇いた。日南も買うか?」 「…… 別に」 「…… そうか」   俺はそのまま自販機のほうへ歩き出す。  冷たいココアを一つだけ買うと、俺は日南の隣の椅子に腰掛け、プルタブをあける。

友崎は飲み物を買い、日南は買わなかったシーンです。このシーンは、おそらく2巻P307の「だって、私と同じはずでしょ、ここの感覚は。」から考えるに、日南と友崎は違う、ということを示しているのでしょう。

「人間が言う『本当にやりたいこと』なんて、いまの自分がたまたま、一時的に、それが一番いい状態だと勘違いしている幻想でしかない。だからそんな一時的な勘違いに縛られて、本当に生産的な行動から目を背けるのは、無意味ってだけ」

ここの日南のセリフは、日南の行動指針であり、花火の缶バッチを目にした時に買わなかった理由の答え合わせでもありますね。缶バッチが欲しいという『本当にやりたいこと』は一時的な勘違いで無意味である、他に生産的なことがあるのではないかという考えで買わなかったというわけです。

 

「…… あなたも、違うのね」 「え?」  日南は一瞬だけ唇を噛み、瞳には悲しく歪んだ光を湛えたように見えた。けれどその色は、次の瞬間にはまるで初めから存在しなかったように、別の決意を固めたかのように、瞳の奥 へと消えていた。

おそらく、一番の謎であるセリフであろう「あなたも違うのね」

「あなた”は”違う」ではなく、「あなた”も”違う」であることがポイントで、別の誰かも友崎と同じ選択をしたようなセリフです。

ここで「あなたは違う」であれば、「日南と友崎は違う」という意味になるだろうのですが、本文では「”も”」なんですよね。3巻時点では誰が「”も”」に当たるのかがわからないわけです。友崎と同じ選択をしたのは、水沢が最有力だと思われますが……そもそも、本音を話した水沢に対して日南は仮面をつけたまま応対していたわけですから、水沢に対して『違わない』ことに『期待』していないことは明白です。

日南は友崎しか、正確にはNO NAMEは、nanashiしか尊敬していなかったことが1巻P37の日南のセリフで、そしてP53では「私よりも努力できると思っていたから尊敬していた」とあります。『尊敬』と『期待』とは別物ですが、『尊敬』レベルの認識でない限り日南は誰かを『期待』しないのではないかと思います。

となると”も”に入るのは、nanashiと友崎……nanashiは友崎と同じわけですが、友崎自身が日南とNO NAMEと別物の様に言っていることから、日南も同じように考えていてもおかしくはなさそうです。3巻時点で「”も”」の人間はnanashiになるのではというのが結論です。(こじつけ感があるような……)

 

「6 ヒロインにしか装備できないアイテムには特別な効果がある」の缶バッチとリュックについて

友崎が友崎なりの『人生』の答えを見つけ、日南に啖呵を切るこの章では、最後に日南に缶バッチとリュックの二つを返して終わります。その缶バッチとリュックについて話していきます。

日南はリュックに対して「ほつれがあるからあげてもいい」と思っています。ほつれは完璧性の欠如という風にとらえていいでしょう。そんなほつれを隠すように友崎に対して『対等』のための、日南にとって『本当にやりたいこと』の缶バッチで隠しています。

つまり友崎は「完璧でなくても、本当にやりたいことを表に出せば気にならない」と考えているととらえていいでしょう。

「これは、世界をカラフルに色づけてくれた、ほんのお礼ってやつだから」

さらには、『対等』の象徴である缶バッチは『人生』というゲームが好きになれたことのお礼という理由で返しています。理由を付けて缶バッチも返すことで日南と『対等』でありたいという気持ちを表しているというわけです。

「まあ、そういうことなら、もらっといてあげる」

そして日南はこう返しています。あの日南が、スラスラと言葉を繋げられていないことが……照れでしょうか、ともあれ、日南の珍しい様子でLv.3は締めくくられます。